辞書によると、スナップ写真とは「人物などの被写体を自然な形や雰囲気の中で早撮りした写真」とあります。

 正確には「スナップショット写真」といい、「スナップショット」は慎重に狙わずに発砲することを意味する狩猟用語からヒントを得て、イギリスの天文学者で写真に関しての発明もした、サー・ジョン・ハーシェルが考えた造語です。(世界写真全集・第3巻フォトジャーナリズム・集英社より)
 
 スナップ写真という言葉で頭に浮かぶのは、ライカの名手、フランス人の写真家アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908年−2004年)ではないでしょうか。

 1952年に発表された彼の写真集、『決定的瞬間』(フランス版原題『逃げ去る映像』)は、世界中の写真家に大きな影響を与えました。

 高度に洗練されたスナップ写真の明確な定義を、彼は次のような有名な言葉で表現しました。

 「私にとって写真とは、ある出来事がもつ意義と、その出来事に的確な表現を与える種々の形態(フォルム)の正確な構成の双方を同時に、しかも一瞬のうちに認識することだ。」(世界写真全集・第3巻フォトジャーナリズム・集英社より)

 私がスナップ写真にこだわるのは、演出でない「真実の瞬間」を、1枚の映像にとらえる醍醐味からです。

高性能なデジタル一眼レフの登場によって、コストをあまりかけずにそれを楽しむことができるようになりました。

 そして、心に残るカルティエ=ブレッソンの言葉は、「ひとの写真を撮るのは恐ろしいことでもある。なにかしらの形で相手を侵害することになる。だから心遣いを欠いては、粗野なものになりかねない。」です。

 わが国でも最近は、盗撮や肖像権の問題がメディアにしばしば取り上げられています。

 スナップ写真愛好家は、撮影される人々に不愉快な思いをさせないように、いつも気をつけなければならないと思います。


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